減価償却実務についてのポイント①

おはようございます。
川越・ふじみ野・富士見・三芳エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
先日減価償却の概要について触れましたが、今日は実際の業務で検討するポイントについて紹介いたします。

 

簿記未経験の方にとってわかりにくい減価償却のあらましについて

 

前回の記事で書きましたが、一定金額を超えた資産を購入した場合は、経費とせず一度固定資産として固定資産台帳というものに登録します。固定資産台帳については、大抵会計ソフトを購入するとセットで購入ができますので、予め固定資産を一定数購入予定の事業者の方でしたら、一緒にご用意しておくと実際に業務にあたった際にスムーズに処理できます。

 

まず、減価償却というものは、以下の式で計算します(実際には、ソフトで計算しますが、ロジックを理解するため敢えて書いておきます)。
減価償却額=資産の取得価額×償却率×事業供用月数/12
  • 取得価額:購入した時の金額に諸費用(引取り費用、税金他)を加算した金額で決まります。
  • 償却率:①耐用年数、②償却方法の2種類の要素によって決まってきます。

耐用年数の考え方

まず、上記式の償却率を決めるための要素の一つに耐用年数の決定があります。耐用年数は、①資産の種類②資産の構造・用途③資産の細目といった項目を考慮して決めていきます。詳細は、こちらの耐用年数省令の別表を一度読まれると、イメージが付きやすいです。

 

 

例えば、建物であっても、資産の構造・用途が鉄筋コンクリートなのか、金属造りなのか、木造なのかで全然違いますし、同じ構造・用途であっても細目が事務所用なのか店舗用なのかでもそれぞれ耐用年数が違ってくるので、購入した資産の内容や用途をよく確認してから決定する必要があります。

 

この耐用年数の設定を間違えてしまいますと、どれだけ他の経理処理を丁寧にしたところで、税額の計算が正確にできなくなってしまいます。しかも、毎年のことになりますので、長期にわたり税金の計算が誤ってしまいますので、極力慎重に行いましょう。

事業供用日の考え方

こちらは、以前個別に記事にしましたが、実際に固定資産を使いだした日を登録します。購入後すぐに利用した場合であれば、同日若しくは同月の登録でOKですが、購入後自社用にカスタマイズをしたり、手を加えたりと事業に使うまでに期間が空いている場合は、実際に事業として使いだした日にする必要があります。

 

固定資産の減価償却を開始する「事業のように供した日」っていつ?

 

例えば、試運転をして性能チェックをしたりする場合は、試運転終了後、実際の商用ラインに組み込まれた日が事業供用日とし、それから減価償却を開始するのが適当です。

償却方法の決定

減価償却の方法には、毎年同額を計上していく「定額法」と呼ばれる方法と、購入後数年は多めの減価償却費を計上し、徐々にその額が減っていく「定率法」とよがれる2種類の方法があります。
定額法は、一次関数(y=-ax+b)のグラフのように資産の残高が直線で減っていくイメージで考えていただくとわかりやすいです。

 

一方、定率法は、反比例の関数(y=a/x)のように曲線で資産の残高が減っていくイメージです。ですので、当初の年度の方がより多くの費用が計上できる、すなわち税金を抑えられるものの、後半の年度は、費用が減っていく、すなわち税金が相対的に増える形になります。

 

償却方法については、①自社で選定方法を決める場合(その場合は税務署に届け出が必要)と②法定の償却方法を使う場合(こちらは特段手続不要)の2種類があります。この辺りの留意点や変更の際の手続は別途改めて書こうと思います。

まとめ

今回は、減価償却の実務にあたってのポイントを一通りまとめてみました。実際の実務では、会計ソフトがナビゲートしてくれるのでそれほど困ることはないと思いますが、会計ソフトに組み込まれている基本的な考え方がわかっているのとそうでないのでは、応用問題が出てきたときの対処に差が出てきますので、今回改めて確認してみました。

【子育て日記】
知り合いからいただいたリンゴを毎日向くのですが、2人ともあまり食べません。時期が時期なので、冬に比べると甘味は薄いものの、個人的にはおいしいと思うのですが、子供は素直です。キウイの方が好きなようです。こちらは、今が旬なので。