固定資産の減価償却を開始する「事業のように供した日」っていつ?

おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する
公認会計・税理士の榎本です。
固定資産の減価償却開始はいつにすべきか
というご質問を時折お客様から
いただきます。
そこで、本日はいつから固定資産の減価償却費を
計上するかということについて解説いたします。

固定資産の減価償却って何?

まず、簿記や経理が不慣れな方にとっては、減価償却って何?と
思われるかと思いますので、ご説明いたします。

 

減価償却とは、営業車、空調機器、駐車場のアスファルト舗装、
製造用設備、家屋等比較的金額の大きい支出をした際に、
その一時の損金(費用)で処理するのではなく、
一度資産として計上し、資産ごとに決められた年数で
損金(費用)にしていくというものです。

費用化の方法については、定額法、定率法などいくつかの
方法がありますが、本題ではないので、いったんここでは割愛
いたします。

 

仕訳で表すと以下のイメージです。
例:100万円の車を購入した時(単位:万円)
取得時は、一度資産として、決算時に損金(費用)処理しています。

 

取得時
車両100
預金100
決算時
減価償却費20
車両20

事業のように供した日っていつ?

さて、ここで先ほどの減価償却によって損金(費用)に
計上できるのは、いつからかという疑問疑問が出てきます。
税務の法令や通達では、「事業のように供した日」からという説明で書かれていますが、
聞きなれない方にとっては
なんじゃそりゃ?という感じですね。
簡単に言うと、使い始めた日ということです。
だったら、そう書けばいいじゃんと個人的には思いますが…
購入後即時に使っていますと、この「事業のように供した日」というのを
それほど意識はしません。
例えば、車両等のように、納車後すぐに営業等で使っているのであれば、
納車時点若しくはその翌日などが事業のように供した日になり、
その日から減価償却の計算をすればことが足ります。
客観的にこの日を確認する際にも、ディーラーとのやり取りで
納車日をいつにしたかの証憑が残っていればそれを使って説明ができます。

 

一方、製造設備などの機械は、納入してもすぐに使えず、ラインへの据え付けや
ちゃんとした性能が出るかなどについて
性能点検などをする場合は、
「メーカーからの納入日】≠「事業のように供した日」
なります。
税務調査でもこの辺りは論点になりやすいので、
いつ時点でこの機械が製造ラインに組み込まれたかなどを客観的に
説明できるものを用意することが必要です。

 

例えば、「設備稼働報告書」等の社内書類を普段から作っておき、
製造機器などについては、実際に商用利用した時点で
生産現場からこの報告書を提出するようにしておけば、
減価償却費を計算する際に、経理部門としても助かります。

 

また、マンションやアパート等を新築した場合で考えますと、
完成後すぐに入居者が埋まっていなくても、入居のために
広告や宣伝活動をしている場合は、すでに事業の用に供している
と考えられます。
「まとめ」
税務に関連する法令や通達をご覧になると
わかりますが、事業のように供したという言葉は
結構出てきます。
基本的に税務では、事業の用に供していないものについては
所得税であっても法人税であっても損金として認めないという
スタンスなので、今回このブログをご覧になられた方は、
この点を改めて意識していただければと思います。

 

また、事業のように供した日については、
資産の構成状況や行っている事業・業種等を
総合的に考えた上で判断することになるという
意識を持っていただき、
今後の決算時の税務処理に
生かしていただければと思います。

【子育て日記】
子供にもプライドがあるんだなという出来事が
ありました。
昨日長男の公文の宿題を見ていた時、
朝、時間がなかったので、
「3ページでいいよ」というと
「5ページできるよ」と言い返されました。
本人的には、時間は足りていると言いたかったのでしょうか。
長女は、最近ひとりで本のページをよくめくっています。
字は読めていないのでしょうが、
少しでも中身を理解しようとしているのを見ると
また少し成長したなぁと感じます。