立退料といっても立場や状況によって処理は異なる

おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
会計や税務の仕事をしていてよく思うのは、立場が違いますと同じ名目のお金を支払ってもその処理が異なってきますので、お客様とお話しするときはどの立場にお客様がいて、その支払いが何の目的かをよく確認するようにしています。
今日は、その中で立退料について整理してみます。

譲渡費用として処理する場合

土地建物の所有者は、土地の有効活用や資金的な理由等により現在所有の建物付きの土地を処分する場合があります。
その場合、現在入居されている利用者の方には退去いただくことになりますが、その際には一般的に立退料を支払うことにより、入居者の方の権利保護を図っています(借地借家法28条参照)。
この場合、入居者に支払う立退料は、不動産所得計算上の経費ではなく、当該不動産の譲渡に伴う譲渡費用として処理することになります(所得税法基本通達33-7)。

事業の経費として処理する場合

譲渡に伴わない場合でも、家主の意向で建物を全面リニューアルするなどの場合、一度入居者の方に立ち退いていただく必要が出てくることがあります。このような場合は、譲渡に伴うものではないため、通常の不動産事業の経費として処理すればよいことになっています。損金経理の時期は、その支出となる原因が確定した事業年度となります。

土地のみを貸し、建物は借地権を設定している場合

土地のみを裸で貸し、上物(建物)は借地権を設定している場合に、土地所有者の意向で土地の活用方法を変えるにあたり、建物の所有者に立ち退いてもらう等の場合があります。この場合は、実務上、土地の上にある借地権を建物の所有者から買い戻すことになりますので、その対価とセットで支払うことを考えますと、当該立退料は底地の持ち主である土地所有者の土地の取得費に加算することになります。

土地や建物を購入する場合

先ほどまでとは異なり、今度は新規で土地や建物を購入する側の方の立場で考えてみます。先ほどのように土地・建物を売買するにあたり当該土地・建物の使用者に対して、購入者側が立退料を負担する場合があります。これは、売主と買主の双方の契約になるので、お互いの交渉の結果になりますが、買主が立退料を負担する場合は、当該不動産を購入するのに必要な対価としての性質から購入価額を構成することとなりますので、取得費として処理することになります。

【子育て日記】
下の子は、寝入るときに
タオルを握ると落ち着きます。
逆にないとひたすらそれを探して
落ち着きません…
長男はそんなことがなかったので、
人それぞれだなぁと。