人間ドックにかかる法人と個人の税務
毎年恒例の人間ドック
本日は、午前中予定を入れず人間ドックを受けてきました。
30歳前後から受けはじめこれまで会社勤めの時も毎年受けており、
今回も近くのクリニックで受診しました。
毎度のことながら、前日の夜から翌日の診療が終わるまで
水を除き、食べ物を一切口にできないのは、辛いものです(´;ω;`)
ただ、診察が終わってからの最初の食事は、何を食べても
美味しく感じるので、検診後の食事を楽しみに我慢します。
毎年の人間ドックで悩むことの一つに、胃の検査方法があります。
ここ何年かは、バリウムを飲んでのレントゲン検査を選択していましたが、
久しぶりに胃カメラしてみようと思い、経口タイプの胃カメラを選択しました。
自分の記憶の中では、前回(数年前)の経口タイプの胃カメラは
それほどつらいものではなかったので、
今回も大したことないかと思っていたところ、これが大失敗(>_<)
自分の記憶が薄れていたのか、はたまたつらい過去を忘れてしまっていたのか、
現実は、想像以上に苦しかったので、かなりまいりました(◞‸◟)
検査が終わった後、看護師さんに聞いたところ、検査で使ったものは
現時点で最細タイプのものだということですが、
個人的な感覚としてはかなり太く苦しかったです…T_T
来年は、鼻からのタイプに変えようかと(こっちは、確かのどがそんなに
苦しくなかったので。ただこれもまた記憶違いだと困ってしまいますが…)。
法人が費用負担した場合
さて、この人間ドックの費用ですが、受診項目や内容によっては、
そこそこのお値段になりますので、できれば会社が負担してくれると
助かるなと思うのは、皆さん同じでしょう。
そこで、皆さんの中にも社員が受診した人間ドックの費用について、会社が負担した分を
福利厚生費で処理できるのかどうか疑問に思われたことがあると思います。
まず先に結論から言いますと、要件さえ満たせば損金処理できる余地はあると思います。
国税庁の質疑応答事例にも、一定の要件の下であれば
人間ドックを受けた方の給与にはならないと言っていますし、
所得税法の基本通達36-29を読む限りも同様のことが言えます。
つまり、それは言い換えますと、会社の福利厚生費で処理ができるということになります。
そのための条件としては、以下の1,2が主なものとして挙げられます。
1.原則、検診を受ける社員は、全社員を対象として、会社が直接その費用を負担する。
費用負担する人としない人などがいないように。ただし、年齢を35歳乃至40歳以上とするなど、
一定の制限を設けることは可能。
※役員や特定の従業員のみが受診している場合は、認められない場合があります。
2.検診内容等が社員の健康管理上必要なものであり、その金額が常識の範囲内のもの。
※一般的には、人間ドックは、半日から2日程度の期間で行うので、その期間にかかる
費用として想定される範囲内の金額で考える必要があります。ですので、著しく高額な場合は、
課税の公平性の観点から給与として課税される可能性があります。
(例えばひとり何十万もする特別な検診など)
なお、会社が負担した社員の人間ドックについて、福利厚生費として認められなかった場合は、
以下のような税金が追加で課される可能性がありますので注意が必要です。
①給与として認定された分の「源泉所得税」
②「源泉所得税」にかかる「不納付加算税」
③役員の給与で認められない分についての法人税の「過少申告加算税」
※役員の給与は、定期同額といって、毎月同額でないと損金で認められないため。
このように、対象範囲、考え方、金額を誤ると悪いことずくしとなってしまう可能性がありますので
あらためて注意が必要です。
併せて、役員のみの会社(実質個人商店)のような場合は、私的費用を会社に
付け替えているだけと考えられ、給与課税されてしまう可能性もあるため、従業員がいらっしゃらない
会社での適用は慎重になる必要があります。
(最終的にどのような判断になるかは税務調査の際の調査官との折衝の結果にゆだねられることにはなりますが)
個人的には、人間ドックなどの検診費用については、全社員に公平に機会が与えられ、
その支出額・内容が社会的に見て著しく常識から逸脱しないこと及び社員の健康管理上必要なもの
という観点を外さない、すなわち1,2の点に注意していれば、福利厚生費として認められない可能性は低いと考えます。
個人が負担した場合
では、会社に人間ドックを負担してくれるような制度がない場合、
個人でその費用を負担することになりますが、
その場合は、確定申告で医療費控除として控除できるかといいますと、
インフルエンザの予防接種と同様原則控除できません。
ただし、検診の結果、重大な疾病が発見された場合に、その後継続して治療が
必要な場合などは、当該検診も治療の一環として考えられるため、
医療費控除の対象にはなります。
ただ、医療費控除についてお客様とよくお話しする際に
お伝えするのは、無いに越したことはないということ。
すなわち、結果として税金を減らせますが、それ以上に
日々の健康管理をする方が、支出を抑えられますねと。