事業承継にM&Aを使うなら合併と子会社化のどちらがよいか考える

おはようございます。

 

川越・ふじみ野・富士見・三芳エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。

 

近年中小企業の経営者の高齢化に伴い、事業継続や事業承継といったワードが耳目を集めています。

 

事業を継続するためには、事業を引き継ぐ人を見つける必要がありますが、その相手先には、親族、親族外の従業員、外部へのM&Aといくつか手段があります。今日はその中のM&Aについて整理してみます。

 

事業承継の手段としてのM&A

まず、M&Aと聞いてどういったイメージをお持ちでしょうか。

 

個人的な感覚としては、中小企業の方たちには正直あまり馴染みがないというか、縁遠い感じをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

 

新聞やネットなどでよくM&Aに関しての記事を見かけますが、一般的なイメージとしてM&Aは、上場会社を中心に事業拡大の一手法として行われているイメージがあります。

 

一方、最近では、事業承継の方法の一つとして中小企業でもM&A(企業の買収や合併)を使う会社が最近増えております。

 

このM&Aですが、M(Merger=合併)とA(Acquisition=買収=子会社化)の2つをさして言いますが、事業承継をスムーズに行うには、個人的には子会社化の方がよいのではないかと思います。

 

というのも合併の場合は、事業承継の対象の会社は、被合併会社として最終的には消滅してしまいますし、合併対象の会社と一緒になるため、なにかと調整も多く従業員の方にも負担になりますので、既存の従業員の方などのことを考えますと、子会社化の方がよいかと思う次第です。

子会社化のメリット

ここで、子会社化の方がよいという点についてもう少し詳しく見てみます。

 

まずは、子会社化の場合は、合併と違い、会社が残りますので、既存の組織もある程度維持されますので、既存企業の文化も残しやすいです。

 

企業文化というものは、会社の雰囲気や組織の仕組み、価値観等、企業としての基盤となりますので、それが維持されるということは、既存の社員の方にとってもM&Aの後も比較的仕事がしやすいのではないでしょうか。

 

また、企業文化以外にも組織の基盤として大事な人事、総務、経理、営業等各組織もそのまま残しやすく、従来のやり方で仕事をしやすい状況は残しやすくなります。

 

合併の場合ですと、各組織が合併の会社と一緒になるため、いくつもの調整作業や場合によっては人員整理等を伴いやすくなり、従業員への説明も難しいところがあるかと思います。

 

しかし、子会社化の場合は会社という箱(ハード)が残ることで、企業文化、組織、人事体制等会社のソフトとなる部分も残すため、調整が比較的しやすく、事業承継を実行するうえで、既存従業員の方への理解を求めやすいのではないかと考えます。

子会社化デメリット

子会社化が絶対的によいかというと、企業の買い手から見ると必ずしもそうでないところもあります。

 

例えば、買い手は、買収後に既存の会社を生かしつつ、その会社もグループの一員として一体感をもって運営したいという意向があります。

 

合併の場合であれば、買い手の会社に取り込むことになるので、導入時の調整作業は一時的に負担となりますが、その後うまく進めば、グループとしての一体感をより強めやすい環境は作れます。

 

一方、子会社化の場合は、既存組織を維持していくので、買い手側で継続した管理が必要となったり、合併に比べると一体感を生むという意味では相対的に難しいところがあります。

 

また、物理的な距離がある場合には、そうしたことも一体感を生む阻害用意の一つになってきます。

 

同じビルや組織に属しているのとそうでないのとでは、どうしても心理的な面でつながりというものを生みにくくなるかと思います。

中小企業の場合は合併よりも子会社化

ここまで、子会社化にはよい点もあれば必ずしもそうでないという面もあるところを見てきましたが、中小企業の事業承継手段ということで考えますと、冒頭書きましたように子会社化の方がよいかと。

 

中小企業の場合は、良くも悪くも社長のカラーというものが企業文化(価値観や組織の仕組み等)に反映されていますので、合併という形で組織の融合を図ろうとするとどうしても軋轢や衝突を生みやすく調整をするのが難しくなりやすいと思います。

 

そうなりますと、従業員側の理解や調整も進みにくく、せっかく事業継続の意味で一緒になっても、既存の従業員の方を中心に、快く働く環境が整いにくくなりかねません。

 

一方、子会社化の場合であれば、先ほど書いたように合併に比べて既存組織を残すことで、従来の環境を維持しやすくなります。

 

そうすれば、既存従業員の方も働く環境を可能な限り従来のモノを残していきやすいですし、M&Aの手段による事業承継というものを受け入れやすいのではないでしょうか。

 

大事なのは、「人」が組織の重要な財産であり経営資源であるということ考えると、事業継続はその「人」を重視した形で行っていくことが重要なポイントではないかと考えます。

まとめ

中小企業の事業承継には、いくつかの手段がありますが、今回は企業買収(M&A)を使った方法では、合併と子会社化でどちらがよいかについてそれぞれどういった点がよく、どういった点で留意すべきかといった点を整理してみました。

【子育て日記】
長男は、成長して知恵をつけてきたのか、気分的にのらないときに大人の目をごまかそうと茶番劇を演じてきます。頭痛ーいとか。

 

妻はひとまず、本人の主張を信じてあげているようですが、個人的には茶番を演じず本人の本音を聞いて上げた方がいいかなと思うのですが…

 

妹はそれを見てどう感じているのか…。そのうち何か感づいてしまわないか心配です⤵