その支出って、税務上は交際費?会議費?福利厚生費?~飲食代の処理について考える~

交際費の概要 個人の場合と法人の場合

個人や法人の形態を問わず、事業をされていると様々な支出が
発生し、その中にはこれって、損金(費用)で処理できるの?って

考えられることは多いかと思います。

その経理処理に悩まむのの一つに接待・交際費の処理があります。

飲食代、ゴルフ、観劇、旅行等々・・・

これって、そもそも経費になるの?って
疑問に感じられたことは1度はあるでしょう。

まず、交際費には、どんなものがあるか簡単には、以下のものが例として挙げられます。

・取引先の方を招いた飲食
・取引先とのゴルフ
・取引先とのスポーツ観戦
・取引先との旅行
・取引先への贈答(お歳暮、お中元)

・取引先の慶弔禍福にかかる支出 等々

ここで、一つ重要なのは、「取引先との」という点になります。

交際費については、法律でも以下のように書いてあります。

(一部省略)・・・ その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する
接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)の
ために支出するもの・・・(省略)(租税特別措置法61条の4)

・・・・

要するに、事業に関連し、取引先との関係の向上や今後の取引拡大、
事業にとって必要・関係のある支出かどうかということになります。
(上記記載にないものでも、事業上必要かな?というものについては、

顧問税理士と確認していただくのが良いと思います)

ですので、プライベートで行った、ゴルフや飲食その他交遊費は、当然のこと
経費にはなりません!

ので、ご注意ください。

ちなみに、交際費については先に書いた条件を満たしても、個人の場合は、
支出額に限度はありませんが、法人の場合はそうではありませんので、ご注意ください。

(以下の表を参考までに)

区分限度額
個人
無し
法人(中小法人)(※1)
①800万円(※2)
②交際費のうち飲食その他これに類する支出の金額の50%
①、②のうちいずれか低い金額
法人(中小法人以外)
交際費のうち飲食その他これに類する支出の金額のうち50%
※1:中小法人とは、期末資本金もしくは出資金が1億円以下の法人です。
※2:設立時など事業年度が1年に満たない場合は、の金額は、800万円に(事業年度の月数/12)を乗じた金額となります。

飲食代を交際費にするか会議費にするか

続いて、交際費のうちよく発生する飲食費について注意点をご紹介いたします。
よく会社が負担した飲食代を会議費で処理されているお客様がございますが、
そもそも飲食代について会議費にするか交際費にするかはどこで線引きするの?

という疑問が生じます。

これについては、金額的な基準として一人当たりの飲食代が
5,000円以下であり、その飲食代が専ら会社内の役員や従業員その親族のみで
行われていないことがポイントになります。

また、飲食代に関して以下のように書類の保存をしておくことが必要になります。

① その飲食等のあった年月日
② その飲食等に参加した取引先等(事業に関係ある者)の氏名又は名称及びその関係
③ その飲食等に参加した者の数
④ その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
(注) 店舗を有しないことその他の理由によりその名称又はその所在地が明らかでな
い場合は、領収書等に記載された支払先の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又
は本店若しくは主たる事務所の所在地が記載事項となります。
⑤ その他参考となるべき事項
飲食代にかかる支出の多い会社ですと、エクセルなどを使いフォーマットを作って

関係部署に周知して、運用すると経理処理の際に少し楽になります。

逆にこの記録がない場合は、実際は、5,000円以下の飲食代であっても

交際費扱いされてしまう可能性があるので注意したいところです。

その他どこまでの範囲を飲食代にしていいかやどのような人が出席すればこの要件を
満たすかなどについては、以下のサイトに詳細がありますので参考にしてください。

また、それでもわかりにくい場合は顧問税理士と相談されるのがよいと思います。

飲食代を福利厚生費で処理する場合

あと、お客様から質問をされる飲食代について以下のものがあります。
・歓送迎会の飲食代は?
・会社の忘年会は?
・会社の納会は?
・決算後の慰労会は?

・会社員の誕生日会は? 等々

ここで先に原則を書いておきますが、社内の人だけでの飲食代は
税務上交際費として認定される可能性が高いです。裁判事例でもそのような

判断が出ております。

ただ、先に書いた従業員のための忘年会や歓送迎会は、すべて交際費になってしまうのか

というと必ずしもそうではないと考えられます。

それは、従業員の慰労のために行われるもので、概ね全従業員にその機会が与えられる
ようなもの(逆に考えると特定の役員や従業員のみではだめ)であれば、
福利厚生費という考え方で処理できる可能性は残ります。

国税庁の判断としてもそのような考え方が示されていますので。

交際費と福利厚生費の区分

ただ、余りにもその金額が目立ったり、そのほかの支出と比較してバランスを著しく欠くもの

であったり、その他社会常識に照らして著しく公平性を欠くものであったりすると

税務上の指摘を受ける可能性がありますので、この辺りは顧問税理士に相談しながら処理していくのが無難と思います。

今回は、飲食代を中心に交際費、会議費、福利厚生費について考えてみましたが、
それなりに注意すべき点はございます。今回記事をお読みになった方で、
今後の経理処理で少しでも参考にしていただけたら幸いです。