借上社宅をする際の税務上の注意点について

こんにちは。
今朝外に出てみると家の前に
沢山の桜の花びらが。
昨日までは、ほとんどなかったので、
昨日あたりが満開だったのかなと。
桜は、梅と違ってホントにあっという間ですから、
儚さはどうしても残りますね。

従業員への福利厚生としての社宅

さて、新年度が始まり一週間が過ぎましたが、
新入社員の中には、会社の福利厚生で会社所有の社宅や

会社が借上げた社宅に入居される方もいると思います。

以前は、大企業を中心に自社所有の社宅をたくさん都内に持ち
社員が家を買うまでにお金が貯めやすいようにと、福利厚生の一環で

自社所有の社宅を安く貸していました。

しかし、近年は、資産効率を高めるなど、持たざる経営の意識も広まり、
最近は自社所有の形式が減り、賃貸マンションを会社名義で借上げ
それを安く役員や従業員に使わせる形態が増えています。
昨今は、人手不足が深刻化し、中々良い人材を集めにくい状況になっていますので、
このように生活費の中で負担の多くを占める住宅費を福利厚生の一環として

提供することで人材の確保に努めている会社も多いです。

今回は、役員や従業員に会社の借上げ社宅を貸与する際の税務上の注意点について
まとめてみました。

借上社宅の税務上の注意点①-契約は会社名義

契約は、会社が行う必要があります。従業員が契約して
会社がその分を支払うという形にすると、従業員へ給与を追加で支払っていることと
同じとみなされ、給与分を追加で課税されてしまいますので注意が必要です。

借上社宅の税務上の注意点②-利用者から一定の金額を徴収

契約を会社で行い、支払も会社ですることになりますが、
役員や従業員からは一定の金額(賃料相当額)を徴収しないと
これまた役員や従業員への給与とみなされて役員や従業員に

税金が課せられてしまいます。

では、いくら徴収すればよいかといいますと、
役員と従業員では計算の方法が異なりますので、
それぞれご紹介いたします。
(国税庁のタックスアンサーより:従業員の場合
(国税庁のタックスアンサーより:役員の場合

従業員の場合

 1~3の合計額を徴収する。
  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
ただ、これらの金額は、家主に確認しないとわからないこともありますので、
もし把握が難しい場合は賃料相当額の50%をとっておけば給与として課税される可能性は低いです。

役員の場合

役員の場合は、住む住居の面積によって計算が分かれる点と
その社宅が豪華なものかどうかによって計算方法が異なります。
これを見ると、役員は、従業員に比べ自己の意思を会社経営に反映させやすいという
立場にありますので、会社の財産を棄損させることがないように
一定の制限を税務上も設けていることがうかがえます。

豪華社宅の場合

 貸与される社宅が 社会通念上一般に貸与されている社宅と
認められないいわゆる豪華社宅である場合は、以下の算式の適用はなく、
通常支払うべき使用料に相当する額が賃貸料相当額になります。
要するに全額自己負担することが求められますので、そんなに豪華な

ところに住むのは控えた方がよいかもしれません。

※ いわゆる豪華社宅とは
床面積が240平方メートルを超えるもののうち、
取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。
なお、床面積が240平方メートル以下のものであっても、
一般に貸与されている住宅等に設置されていないプール等の設備や
役員個人のし好を著しく反映した設備等を有するものについては、
いわゆる豪華社宅に該当することとなります。

小規模住宅の場合

次の1~3の合計額が賃貸料相当額になります。(従業員の場合と同じ)
  1.  (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2.  12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
  3.  (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
※小規模な住宅と
法定耐用年数が30年以下の建物の場合には
床面積が132平方メートル以下である住宅です。
法定耐用年数が30年を超える建物の場合には
床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、
専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

小規模住宅以外かつ豪華社宅でない場合

その社宅が自社所有の社宅か、
他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、

賃貸料相当額の算出方法が異なります。

(1) 自社所有の社宅の場合
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
    1. イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
       ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
    2. ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合
 会社が家主に支払う家賃の50%の金額と
上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

借上社宅の税務上の注意点③-共益費や管理費などの諸経費

なお、共益費やについては特段明記はされていませんが、
(1)~(3)の計算を見る限り、地代そのものを
計算のベースとしていますので、
その背景にある趣旨から考えると共益費や管理費は、
対象外とできる可能性が高いかと考えられます。