固定資産の取得価額に含めるモノと含めなくてよいモノ
おはようございます。
川越・ふじみ野・富士見・三芳エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
以前いくつか固定資産に関連する会計や税務について記事にしましたが、今回は固定資産を取得した時に取得価額に含める費用について少し整理してみます。
固定資産の取得価額の範囲
近年様々な会計基準(収益、金融商品、外貨、退職給付会計等)が整備されてきたので、基本的な会計処理はその基準に準拠すればよいですが、固定資産会計については今のところ処理全般をまとめた会計基準はありません(減損会計の基準を除いて)。
ですので、通常の会計処理は、税法に依拠することになります。
その中で、固定資産の取得価額は、法人税法施行令54条にその規定がありますので、固定資産を買ったときにどう処理したらいいかなと思ったら、まずはここを見るとよいです(所得税の場合は所得税法施行令126条)。
当該法令を見ますと、
- 購入の場合
- 自分で建設・製造した場合
- 自分で育てた(牛や馬等を想定)場合
- 自分で成熟させた果樹の場合
- その他
といくつか分かれていますが、ほとんどの場合は1に該当するかと。
1の場合で見ますと、固定資産に含まれるものは、⓵本体代金そのものと②引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料等の諸経費及び③その資産を業務に用いるのに直接かかった費用としています。
例えば、メーカーなどが製造用の機械を購入した場合を考えてみますと、
- ①は、機械本体代金となります。注意点としては、値引きなどがある場合は、その分を控除します。
- ②は、機械メーカーから工場などに輸送する場合の輸送費、機械などをばらして持ってくる場合はその梱包費や工場などでの組み立てにかかる荷役費、運搬中の事故などに備える運送保険料等があります。
- ③は、機械を正常に運転するまでにかかるコストです。例えば、商用生産前に試運転等を行うのに原料や電気などの用役費がかかった場合等はそれらも取得原価に含めることになります。
以上のように原則は、買ってから直接使いだすまでにかかる諸々のコストは、原則として取得原価に入れて、減価償却費を通じて費用(損金)にしていきます。
ただ、一部例外として事後的に支出するものでも事前にわかっているものでしたら、固定資産の取得価額に含めることになります。
例えば、工場やマンション建設などで、建設現場の近隣住民に対しての対策費用など予め支出がわかっているものの、その支出が建設後に発生するものなど。
その他、もう少し細かいものは、法人税法の基本通達7-3-1~に記載があります。
固定資産の取得価額に含めなくてもよいモノ
原則と書いたからには、例外があります。
一部もの費用でも取得原価に含めずに取得時の損金として処理することができる容認されるものもあります(法人税法基本通達7-3-1~7-3-3の2)
- 一部の租税公課等…不動産取得税や自動車取得税、登記などの費用
- 計画変更により不要となった事前の費用…建物等の建設にあたり事前の調査、測量、設計等の費用のうち計画変更となり、それまで支出した費用が不要となった場合にそれまでにかかった費用
- 契約て破棄にかかる違約金等…一度締結した契約を破棄し別の契約に変更した場合の当初契約の違約金
- 購入にあたっての借入金の利子…利用開始前までの借入金の利子。これを見ますと、原則は利用開始前の利子は取得価額に含めるということになります。
- 割賦販売での購入にかかる費用の一部
まとめ
固定資産の取得費用は、取得価額に含めず、損金処理できるもの(前掲したもの)が一部ありますが、基本的な税務のスタンスは、使う前までの費用は原則取得価額に加えるというスタンスですので、判断が難しい場合は取得価額にしておくことがベターかなと個人的には思います。
【子育て日記】
下の子は、食べることが好きで、自分のモノがなくなりそうになると、急に機嫌が悪くなります。
努力して、少しずつチョビチョビ食べてますが、結局兄より先に食べ終わってしまいます(´;ω;`)。食べ物への執着がすごいなぁと。
兄は、そんな妹を見て少し分けてくれる優しいところがあり微笑ましい。