キャンセル料と消費税の処理について
おはようございます。
川越・ふじみ野・富士見・三芳エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
事業活動をしていますと、突然の予定変更やリスケといったことは往々にしてあります。その際に、当初の予定をキャンセルする必要が出てきますが、このキャンセルにかかる消費税は、内容によって処理が異なりますので、本日は、そのあたりを少し整理してみます。
目次
そもそも消費税の対象となる取引とはどのようなものか
消費税の対象取引かどうか迷った場合は、ひとまず以下の条件に照らして考えるように自分はしています。俗にいう消費税の4要件です。(このほかに外国貨物の引取りも対象になりますが、ここではひとまず一般的な国内取引を対象として考えるので割愛します)
- 国内取引かどうか
- 事業者が行った取引かどうか(個人事業主もしくは法人)
- 資産の譲渡等(サービス等の役務提供を含む)に該当するかどうか
- 対価を得ているかどうか
さて、この内容を前提にキャンセルに関する消費税を見てみます(消費税法基本通達5-2-5、5-5-2)
キャンセルに伴う事務手数料としてのキャンセル料
こちらは、消費税の課税対象になります。これは、上記4要件のうちすべてを満たしているからです。事務作業というサービスをキャンセルにあたって事業者が行っていると考えますと、しっくりくるかもしれません。
例としては、予定していた出張が取りやめになり、それに伴って航空チケットをキャンセルした場合に、当日若しくは1週間前等時期によらずにキャンセル料を取られることがあると思いますが、このキャンセル料は事務手数料としてのキャンセル料と考え、課税処理することになります。
逸失利益に伴うキャンセル料
逸失利益とは、本来得られたであろう利益をキャンセルという行為によって得る機会を失ったので、相手に請求をするというものです。
こちらは、本質的には賠償金と同じなので、資産の譲渡等には該当しないと考えられるため、4要件を見たなさないことになり、課税の対象外とされます。
例えば、宿泊施設等でよくありますが、○○日前までは、キャンセル料不要。××日前~▲日間前までは、宿泊料の50%のキャンセル料等、キャンセルのタイミングや時期によって金額が変わる場合など該当します。
これは、キャンセルの時期が早ければ、別のお客様に宿泊の機会を提供し、宿泊施設として利益獲得の機会が確保されますが、そうでない場合は宿泊施設としては予定の利益を確保できないので、その分をキャンセルしたお客様に負担いただくことで補填します。
それゆえ、実態は資産の譲渡等とは考えにくいため、課税対象外となります。
事務手数料部分と逸失利益部分の区分がなされていないキャンセル料
上記2つのモノが区分掲記されてない場合が実務上あります。例えば、ゴルフ場のキャンセル料等のように一体で事業者が受けっとている場合は、全て課税の対象外として扱うことになります。
まとめ
消費税は、法人税や所得税のように事業に関連するかどうかという視点ではなく、上記の4要件を満たすか否かといった視点で判断することになるので、課税かそうでないかの判断が少し難しくなります。
今後もよくある消費税の処理の判断で迷いやすいものについて、自戒の意味を込めて書いてみたいと思います。
【子育て日記】
最近下の子のあせもが少し目立つのが気になるので、お医者さんに行きました。お医者さんに聞いたところひとまず何もぬらずによく汗を流してあげるようにということだったので、保湿液は控えるようにしました。
塗り薬は、あせの逃げ道をふさいでしまうので、よくないそうで。
上の子は、同じ年ごろではそこまであせもができなかったのですが、人それぞれだなと改めて思いました。