全国平均1500円を目指す最低時給の引き上げとコンビニエンス業界の今後の考察

こんにちは。

 

ふじみ野・川越・三芳・富士見エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。

 

毎年夏の時期になると、春先の春闘における大企業の賃上げ結果がまとまり、その結果を受けた全国レベルでの最低賃金の引き上げの話が持ち上がります。

 

コロナ禍の影響が大きかった2020年においては、企業の業績面での不透明感もあり賃上げの話が落ち着いていましたが、コロナが落ち着きはじめた2021か2022年あたりから値上げが再開され、2023年は過去最高の43円の値上げが実施され、2024年においても2023年を超える50円の引き上げが実施される見込みです(いずれも全国平均なので都道府県によっては、金額で多少差がある可能性があります)。

労働集約型のコンビニエンス業界と時給引き上げ

この話を毎年聞くたびに、コンビニなどの労働集約型のビジネスをやられているところは、本当にシビアだなぁと感じます。

 

特にスーパーなどの比較的大きな資本が入っているところはまだ資金力があるので良いのですが、コンビニや個人商店のように零細資本で運営されている事業体にとっては、ほんとに死活問題だなと思います。

 

新聞紙上などでは、世界的に見れば日本の時給は未だに低く、欧米諸国だけではなくアジアの国と比較しても負けてしまっている状況なので、最低時給の引き上げについてはどちらかというと歓迎の論調が目立ちます。

 

確かに、最低時給で一日8時間、月に22日程度仕事しても年収ベースでみれば、日本の平均値の半分程度までしかならないので、そのベースラインを引き上げることは確かに必要とも思えます。

 

円安などの影響もあるため、物価も上がり、生活水準を維持するには、給与のベースを引き上げ、その結果として消費活動を維持し、経済を成長させ、その結果としてさらなる給与のアップにつなげるサイクルを考えますと、やはり賃上げへの肯定的な論調はある程度支持されるのかもしれません。

人件費増加に見劣りする収益面の改善

しかし、先ほど記載した零細資本が中心のコンビニエンスストアなどでは、売上や売上総利益率(粗利率)の伸びに比較して、人件費の伸びが大きいため、どうしても利益の確保には時給のかからないオーナーの時間を割かなければなりません。

 

また、昨今では、社会保険への加入要件の範囲も広がっており、加入者が相対的に増加しています。こうした人たちの時給の増加は、単に給料だけではなく給与をベースに決められる社会保険の負担増にもつながり、個人的にはどのお店もかなり苦しい状況にあるのではないかと考えられます。

 

ちなみに、15年前と現在のとあるコンビニエンスストアの収益数値と人件費の関係について調べてみると以下の状況です。

 

【2009年】
売上(日販)629千円 粗利30.2% 713円(全国平均)

 

【2024年】
売上(日販)691千円 粗利32.2% 1,054円(全国平均)

 

この数値からわかるのは、売上が9.8%増、粗利率の増加率6.6%と収益面の数値が10%弱の増加に対し、人件費は47.8%増加と約1.5倍になっているため、コンビニ最大の経費(本部へのロイヤリティを除く)である人件費の増加に見合った収益の増加ができていないことがわかります。

 

この間には、本部側の施策でいくらかチャージ減額などがありましたが、人件費増加分を吸収できていないと考えられます。

 

また、現行の政府の目標は、1,500円に全国平均がなるまで時給の引き上げを考えていると発言していることからすると、足元の収益の増加のみでは、経費の増加が吸収できず最終的にはオーナー側の負担がますます増加することが考えられます。

人件費の増加についての負担関係見直しも

個人的には、販売単価の増加による粗利率の改善などを通じた収益アップも大事ですが、売上そのものはお客様あってのものなので、まずもって対応可能なのは人件費の増加に対する共同運営体である本部側の一部負担などが個人的には先に必要かと思います(以前の記事参照)。

 

廃棄の費用についてはだいぶ前に本部側の一部負担が始まり、その結果としてオーナー側の経営環境は、改善したので、そうした負担の按分を人件費についてもこの先は考えていく必要があるのではないかと思います。

 

高齢化社会が進む中でコンビニが近くにあるというのは、高齢者にとって買い物難民人あることを回避し、安定した生活ができ、生活必需品の購入なども容易にできます。

 

こうした社会的なインフラとしての側面が強いので今後もフランチャイズがほとんどのコンビニ業界が継続していくためにも、人件費増加による経営難、そして撤退といった事態を起こさないようにしていく必要があるのではないでしょうか。

 

これは、FCオーナーだけではなく、共同運営体の本部側の社会的責任でもあるので。

【子育て日記】
今週月より、夏休みが明け2学期開始。

 

つい先日夏休みが始まり、宿題をどう進めていけばいいかなどといっていたのが、1カ月前の話とは思えないほど、ほんとにあっという間に過ぎました。

 

自分が小学生時代は、夏休みが42日だったので、それに比べると1週間短いですが、子供たちの意見としてはちょうどいいとのこと。

 

確かに、今の時代は自分たちの時と違い、週休2日(土日完全休み)なので、1週間夏休みが短くてもその分、平時の休みが多いので、丁度いいという感じになるのかなと思った次第。

 

とにかく、休み中は、子供たちの体調が大崩れせず元気に過ごせたので、計画した旅行へも行けて家族みんなで満足!