継続企業の前提と税理士難民と税理士事務所~備えあれば憂いなし~

おはようございます。
川越・ふじみ野・三芳・富士見エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。

 

気づけば9月に入り、今年も残り1/3(4ヶ月)を切っており、季節も夏が過ぎ去りすぐそこまで秋が迫っていると感じる天候が続いています。特に夕方になっての涼しさが秋の風っぽく暑かった夏の頃とは少し違います。

 

そんな時期なので、少し早いかもしれませんが自分の中では少しずつですが、年末から年明け以降の業務を意識し、できるところから準備を始めています。何事も備えあれば憂い無しといいますし。

税理士難民の発生と納税者の意識

「何事も備えあればといえば憂い無し」というワードで思い出すのが以前勤めていた税理士事務所に新規のご依頼で来られたお客様のお話です。

 

そのお客様は、顧問税理士が急逝し、いわゆる税理士難民となってしまい、決算業務や税務申告などの業務が滞っていた状況でした。

 

税理士事務所は、税理士が2人以上いて作られる税理士法人もしくは複数の税理士がいる税理士事務所ではない場合、所長の税理士が一人ですべての業務の責任を担っているため、その方に万が一の事があった場合は、税理士事務所と契約している納税者の方は、その瞬間から税理士難民(新しい税理士を探す必要)になってしまうというリスクがあります。

 

これは、税理士法の仕組みにも関係しますが、他人の税務申告の代理をする事ができるのは、税理士資格を持っている税理士のみであるため、税理士事務所で勤務する職員(税理士資格のない方)の方では、実務としてそれができても、実際にその行為をすると法律違反になってしまうため、行うことはできません。

 

このあたりは、納税者の方からしたら普段はそれほど強く意識することはないと思いますが、日本税理士連合会が調査した資料によれば、日本の税理士の半数以上が60歳以上(70歳以上でみると23%と4人に一人)と業界全体が高齢化しているのは明らかですので、先程のようなリスクに直面する可能性は、多くの納税者にあります。

 

人の寿命(特に健康寿命)は、無限にあるわけではないので、ご自分の税理士の年齢がいくつでその方は健康なのか、あと何年お仕事をされるもしくはできるのかといったことを少しは意識されてもよいかと思います。

 

実際に、自分の周りでも、税理士の方が高齢で引退されたり急に亡くなって税理士難民になってしまったという話はよく耳にする話ですので、他人事にはせず、頭の片隅に置かれてもよいのではないでしょうか。

継続企業の前提と税理士事務所

少し話がそれますが、タイトルにあります「継続企業の前提」と言う言葉ですが、こちらは公認会計士の業務の一つである会計監査の中で登場する言葉で、健康状態の良くない企業について時折使われます。

 

企業(法人)は人間(自然人)のように寿命といったものがないため、資金面・経営面などで重大な問題が発生しない限りは、半永久的に生き続けるという前提がおかれ、決算書もそれに応じて作成されます。ようするに、企業の決算は、会社が潰れることはないという前提で様々な資産負債を評価して作成されるということです。

 

逆に、会計監査の中で問題になるのは、会社の健康状態(経営や財務の状態)が芳しく無く、継続企業の前提に疑義が生じる場合です。

 

すなわち売上や利益が大幅に減ったり、お金(資金)がなくなったり、借入金の返済ができなかったりと経営・財務・資金等での問題で会社が存続していくことに大きな疑いが発生している場合には、会計士が表明する監査意見の中でもその点を強調した形で行いますし、会社側もその部分をどのように解消し、健全な方向に持っていくかといった計画等を明らかにする必要があります。

 

この継続企業の前提を税理士事務所、特に先程話に出ました個人の事務所(所長一人の場合)について当てはめて考えますと、その事務所は、ある意味では継続企業の前提に疑義が生じているんではないかという疑問がわきました。

 

税理士事務所の場合、たくさんのお客様や従業員を抱え、経営や財務面で大きな問題がなくても、税理士が一人しかいない場合は、税理士に万が一のことがあれば廃業になるという人的側面で脆弱な点で、個人的には高齢化した税理士一人の税理士事務所は、相対的に継続企業の前提に疑いが持たれかねないと個人的には思います。

 

つまり、先程書いた税理士難民になった納税者の方のように、所長税理士に万が一が発生した場合に、資格を持っていない職員の方がいくらいても税務代理業務は行えないため、事務所のお客様である納税者の方が、自分で申告をするか他の税理士を探さないと行けないという問題に発展してしまうからです。

まとめ

翻って、冒頭書いた備えあれば憂い無しではないですが、納税者の方も税理士事務所の継続性に問題がないか(すなわち所長税理士の健康や体調に問題がないかなど)を定期的に確認し、緊急事態の場合が発生してもすぐに対処できるように、予備のカード(変わりの税理士候補を探すもしくは税理士変更先を決める)を見つけておくということは、必要かと個人的には思います。

 

これは、納税者の方だけの話ではなく、仕事を受けている税理士側も考える必要はあります。

 

人間不老不死ではないですし、健康や寿命に限りがあるので、自分の健康や年齢を考え、お客様に迷惑のかからないような出口戦略(引退や税理士の引き継ぎ、お客様の年齢と自分の年齢差を考えての受注等)を考え、仕事をし、歳を重ねていく必要があるのではないでしょうか。

 

加えて、税理士一人でやっていることを考えますと何よりも健康で事故などには合わないように車の運転や普段の生活に注意を払って行く必要がある点も常々感じております。

【子育て日記】
9月に入り、長男も延長となっていた夏休みが明け、学校開始。直接学童に送るときと登校班で行くときの朝の時間のズレに親も子もまだなれず。弁当作りの開始時間も微妙に違うのでアタフタ💧

 

妹の方は、相変わらずマイペースで朝の寝起きはイマイチ…3歳児クラスになったのだからもう自分で起きて階段を降りてほしい。未だに抱っこは親も流石にきつい(;´∀`)