コンビニの廃棄削減のための実質値引きはオーナーの利益に貢献するか考える
おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
2019年に入り、今までコンビニエンス業界に潜在的に問題とされていた数々の問題が顕在化しています。
その結果、コンビニエンス業界を取り巻くニュースが多くなっています。24時間営業の問題、バイト不足や人件費高騰、オーナーの高齢化、ロイヤリティ、廃棄等。
各社ともオーナーの負担軽減を何とか考えており、その中で賞味期限切が近い商品の実質値引が一つの対策として動いています。今日は、この効果について考えてみます。
目次
デイリー品の廃棄問題について
まず、コンビニオーナーの利益を考えるうえで、廃棄は、人件費の次に大きなコストです。仮に1日1万円(原価)廃棄を出すと、1か月で30万円(原価)、のコストになります。売上が1日50万円、売上総利益率30%、本部へのロイヤリティが50%と仮定すると(本部が店舗等を用意するタイプを仮定)、人件費、廃棄を控除する前の利益は、50×30×30%×50%=225万円となるので、売上総利益に対する
廃棄の負担率がおよそ20%強だということがわかります。
一方、売上をそれなりに確保するには、品揃えをよくしなければなりません。
品揃えをよくするということは、在庫を持たなければなりません。
しかし、それは、裏を返せば、売れ残った場合に廃棄の増加につながります。
このことから分かるように、売上の確保と在庫の確保は諸刃の剣です。
このリスクを基本的には、本部ではなく、オーナー側が負担しなければなりません。
コンビニ各社とも若干の本部負担があるものの現状は、オーナーが廃棄損のほとんどを負担しています。
実質値引きを含めた値引きの効果
コンビニ各社の値引き策
今回コンビニ各社が考えたのは、店の廃棄を少しでも減らし、オーナーの利益が増えるように、廃棄が近づいた商品をスーパーなどで行っている、値引きによる見切り販売で対応しようと考えています。
ただ、その方法は、商品の直接の値引きではなくポイント還元による実質値引きを考えています。
ただ、この方法については、ポイントカードを持っていないお客様にはメリットがないので、その効果が十分かは疑問視されています。
結果として在庫のだぶつきになっては意味がない
また、個人的に疑問として残るのは、廃棄が減っても売上が増えるのか。
確かに、期限切れ間近の商品を優先的に買ってもらうことで、廃棄そのものが相対的に減ることで、コスト削減につながるかもしれません。
しかし、期限切れ間近の商品が購入されることで、本来買われる予定だった鮮度が新しいものが残り、商品のだぶつきを生まないだろうかと思います。
商品がだぶついてしまっては、結果として、それらが新たな廃棄候補になってしまい、店全体での廃棄削減という効果は薄いのではないかと懸念しています。
コスト削減と売上増加につなげるには
理想的な形は、先ほど書いた本来買われる予定の鮮度の新しい商品が、機会損失を埋めてくれることかと。
すなわち、今まで、廃棄によって、欠品が生まれていた時間に鮮度の新しいものが、在庫として残り、そこで生まれていた機会損失を埋め、それが新しく売上として計上されれば、コスト削減+売上増加という流れができ、オーナーの利益につながっていくのではないかと考えます。
この理想的な形になるには、値引きのタイミングや商品の納品のタイミングなども影響してきますので、今後そのあたりをモニタリングしながら、検討していく必要があるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、コンビニ業界でタブーとされてきた値引きによる今後の廃棄削減や売上、利益増加の可能性について考えましたが、長期的に
オーナーが安定した経営をしていくにはもっと踏み込んだ議論が必要かと思います。
例えば、過剰出店による過当競争の規制、ロイヤリティーの率、最低賃金を政策的に引き上げられる中での人件費増加問題への対処、社会保険加入義務による店舗運営コスト増加問題などまだまだ解決すべき課題は山積しています。
これらの課題を一つずつ解決して、初めて現在問題になっているコンビニエンスストアーの担い手確保や社会インフラとしての存在意義を考える問題に対処できるのではないでしょうか。
【子育て日記】
今日は、長男がお泊り保育の日です。
昨日待ち遠しいか聞いてみたら、ちょっと不安のようでした。
明日のお迎えの時には笑っていられるよう楽しんできてもらいたいです。
下の子は、日に日に食欲がましてきて、最近、おなか大丈夫?と聞くと、自分のおなかをなでながらニッコリ。
かわいらしいですね。