墓守と事業承継~守り続けるには

墓守と樹木葬


先日の日経新聞の記事でこんな記事を見しました。

「越生町、樹木葬特化の墓園」

埼玉県中部の越生町では、樹木の下に遺骨を散骨する
樹木葬に特化した公営墓園を開設するようです。
県内では初めての試み。

近年は、少子高齢化による核家族化や
都市部に人が出ていき、地元に
戻らない方もいる中で、墓地の承継・維持管理が
難しいため、墓石が不要な樹木葬の墓園整備を決めたとのこと。

実際、自分の実家でも、両親が墓守をしており、自分や
弟も近所に住んでいるので、今のところ自分の家では
大丈夫そうですが、盆や彼岸の時期にお墓参りに行くと
長い間手入れがされていないお墓もいくつか見かけます。

お墓の管理は、定期的な草むしりや掃除、お花やお供え物、
お参り等結構大変です。

近くに住んでいればよいですが、地方から出てきた方にとっては
地元に親族がいないとなかなか難しいところがあります。

帰省するにも仕事が忙しかったり、子供も大きくなるとみんなで
一緒にというのもできにくいもんです。

承継の難しさ


このように、お墓を守る墓守は、代々継承していくものですが、
近年問題になっている中小企業や個人事業主の事業承継についてもどこか
似ているところがあると思いました。

これらの小規模事業者のうち、家族経営をしている事業主は、
跡継ぎを身内から輩出し、一族で事業継続しているあたりは
墓守に似ているところがあると感じます。

小規模事業者の事業承継も景気が良かったころは、親から子、子から孫という
形でスムーズにいっていました。

しかし、バブル崩壊以降、将来の景気を見通すことが難しい中、小規模事業者を取り巻く経営環境も
非常に厳しいものとなっており、このような状況下では、経営を引き継ごうという方が
減っているため、墓守の維持と同じ様に事業継続も難しくなってきています。

最近、新聞やテレビで「2025年問題」と呼ばれるキーワードをよく見ます。
中小企業庁の試算によれば、今のままですと、中小企業の経営者の後継者が決まらずに、廃業が急増し、
2025年頃までに650万人近い雇用と22兆円規模のGDPが失われてしまう可能性があるようです。

自分が以前の税理士事務所で担当していたお客様の中にも二代目の方が継いでいる会社や今後継ぐことが決まっている
会社もありましたが、半分くらいの会社は、跡継ぎの方がいらっしゃらず、このままだと
会社をたたんでしまうか、すでに会社を休業(実態は廃業)としているところがありました。

小規模事業者の場合、大企業のように組織がしっかりと整備されていないため、
後継者を内部から見つけることが相対的に難しいことも廃業が増えている原因かと思われます。

税理士としてできる承継のお手伝い


廃業が今後増えると予想される中、
日本の経済が今後どうなるかわかりませんが、
守るべき技術や事業は何としても守っていかなければなりません。

少なくとも、自分が今後関与するお客様には、少しでも長く事業を継続していってもらえるように
税制上の優遇措置を活用した事業承継の提案、内部で承継が難しい場合には、
M&Aの提案など、事業主、経営者の相談にしっかりと応えて、
事業継続にそなえた事前にできる準備をしっかりと進めて行ければと思います。