社会保険料は未払で節税しよう!

おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する
税理士の榎本です。
本日は、社会保険料の未払を
使った節税を紹介します。

社会保険料の納付と対象月

まず、社会保険料に加入しますと
毎月前月の給与に対する社会保険料
当月の給料から控除して、当月末に
会社の負担分と合わせて年金事務所等に
社会保険料を納付します。
ここで、社会保険は、年金と健康保険を
想定しています。
この業務は、ルーティンなので、
あまり意識していませんが、
あくまで前月の給与に関するものを
当月に納めるという仕組みになっています。
例えば、3月の納付は、
2月の給与に関しての社会保険料を
3月の給与から控除し月末に会社負担分と
併せて納付するという仕組みです。

決算月の社会保険料は未払いで節税

この考え方に基づきますと、以下のことが
可能となります。
決算月の給与にかかる決算月の翌月納付分を
未払として計上し、節税をします。
例えば、3月決算でしたら、翌事業年度の
4月に納付する3月給与に関する社会保険を
3月末に未払計上します。
これは、先月ご紹介した決算賞与のように
特別に資金手当てをせずにできる節税策なので
比較的使いやすいです。
法人税法基本通達9-3-2でも
と規定しています。

 

法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

 

これは、法人税法基本通達2-2-12でも
書かれているように、
税務が損金計上について
債務確定し、金額を合理的に算定できるものを
前提としていることが考えられます。

 

法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(昭55年直法2-8「七」、平23年課法2-17「五」により改正)
(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

社会保険未払の節税は1回限りの効果

ただし、悲しいかな、この方法は、
初めてこの処理をした
事業年度のみ効果がある1回限りのモノです。
なぜなら、初年度のみ毎月の納付(12か月分)と
事業年度末の未払計上(1か月)の合計
13か月分の社会保険料を
計上する形になりますが、
翌事業年度以降は、12か月分しか費用計上
されないためです。

 

すなわち、翌事業年度以降は、最初の月は、
前年度の未払を取り崩すため、費用計上が
発生せず、2か月目から12か月目まで
合計11か月支払い分が費用となり、
事業年度末に未払を計上することで合計12か月
となる仕組みです。

 

1回限りのものですが、
「たかが」1回ではなく「されど」1回と
思って使ってみるのもよいでしょう。

【編集後記】
先日お昼ご飯をどこで食べようかと
昔ながらの喫茶店に入ってみました。
喫煙者にとっては、
嬉しいランチでも何の制約もなく吸える
環境が揃っていましたが、
自分のような禁煙者には少々きつかったです。
ただ、最近は、このようなお店がなくなっているので
ある意味珍しいお店。