セブンペイ騒動に見る日本人の価値観

おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。
昨日、セブンペイの撤退が発表されました。個人的には、ナナコモバイルがiPhoeで使えない部分を補うこともできるセブンペイの登場でナナコポイントを貯められると期待していたのでやや残念。

 

今回のf不正アクセス騒動とその後の撤退の意思決定までの一連の流れの中に、日本人の文化的価値観で考えさせられることがいくつかあったので、掘り下げてみます。

完璧を求めすぎる日本人

今回の不正アクセス問題を通して、日本人は何か新しいことを始めることに対して、イニシャルの時点で完璧を求めすぎる文化的な価値観があると改めて実感しました。

 

確かに、セキュリティーの脆弱性に問題があった点は、顧客情報を管理する企業側の責任が問われるべきところではあるものの、マスコミや世間の目を含め、「新物」に対してもう少し寛容であってもよいのではないかと個人的には思いました。

 

新しいことを始めれば、それまでとは違うことをするので、失敗や問題点が出るのは、よくあること。

 

しかし、そのような失敗や問題点について、何でもたたくというマスコミの姿勢や世間の目はここ最近の出来事でより強く実感します。

 

子供の成長でもそうですが、何事も最初はちょっとした失敗を周りがカバーしつつ寛容な視点を持ちながら、成長を見守っていくものです。それを続ける先に成長がありますので。

 

今回の出来事でも、不正アクセスで被害を受けた方には、会社が全面的に保証していくことも表明していたので、もう少し事実を寛容に受け止め、状況を見守るという姿勢をマスコミがうまく作れなかったのかという思いは残ります。

 

話が少しそれますが、ベンチャー企業や新興企業がなかなか育たないのもこのような文化が影響しているのではないかと個人的には思います。ベンチャー企業が始めるサービスや商品には、どうしても最初は荒い点があったり、改善すべき点が往々にしてありますので、そのあたりを利用者や報道するマスコミも含めてうまく見守ることをしないと、社会全体に伝播せず、いつの間にか尻すぼみのままになってしまいます。米国や中国ではどんどん目がベンチャー(ユニコーン企業)が育つのに日本ではほとんどそれが生まれないのもそのあたりと関係があるのかと思った次第です。

 

以前中国でロボを導入したコンビニエンスストアの映像を見ましたが、そこでは、利用者がロボットが間違った商品を持ってくることに対して、お客さんが寛容に受け止めていたのが印象的でした。もし日本であれば、ロボのデモテストが不十分であるとか言った報道がされてしまい、たたかれていたのではないかと思いました。

繰り返しにはなりますが、よりよいものを作ろうとする日本人の価値観は素晴らしいものです。

 

一方、利用する側やそれを報道するマスコミは、その精神を強要しすぎず、一歩引いて何でも寛容になるという姿勢でサービスや商品を使う気持ちになることが重要かと。

 

そうしないと、今後も新しい試みをどんどん受け入れる文化が社会に根付かず、結果として国際社会の中で競争力を失っていく一つの要因にもなっていきかねないと危惧しております。

撤退がなかなかできない日本人

完璧主義を求めるという文化がある一方で、それが足を引っ張るためか、中々「撤退」の意思決定をできないのも日本人の一つの文化的特徴です。

 

過去の歴史の中でももっと早い撤退を決めていれば歴史が変わっていたという史実もいくつもあります。

 

海外では、「撤退」も一つの戦略・戦術という認識がありますが、日本人の中には、どうしても撤退は負けという負のイメージが強いと個人的には思います。

 

撤退=負のイメージという認識から、中々決断できずズルズルいき、傷口を広げてしまう例は、過去にいくつもありましたが、今回のセブン&アイは、早々に撤退を決め、一旦セブンペイに幕を引いた点は、逆に評価できる点ではないかと個人的には思います。

 

今回のこの失敗をうまく利用して、企業イメージを回復できれば開発にかけた莫大な資金も将来的にか回収していけるのではないでしょうか。何事も前向きにとらえることで、撤退というものをマイナスイメージではなくプラスのモノとして利用できると考えます。

 

実際株式市場でもそのような事例はみられます。先日、ホンダがトルコ工場の撤退を決めた際も株価は上昇しました。これは、市場がホンダの足かせになっていたものがとれ、今後の成長につながるということを評価したからにほかなりません。セブン&アイも今回の撤退の事実を真摯に受け止めるとともに、今回の経験を今後のサービスにつなげていくことができるかどうかで経営者の手腕が問われそうです。

まとめ

何事も完璧なものを求めすぎる日本人、撤退を躊躇してしまう日本人、いずれも日本人が持つ文化的価値観の一つですが、今回のセブンペイ問題では、この日本人の価値観について改めて考えることができたので、個人的には良い勉強になりました。

【子育て日記】
先日アマゾンミュージックを導入以来、長男も下の子もアービーチーのWating For Loveにはまっています。小さいころから英語の曲に容易にアクセスできるのもデジタル技術の発達のおかげだなと改めて感じました。