社長(役員)の報酬を変えるにあたっての注意点

おはようございます。
会社の決算が終わりますと、来年度の
月額の役員報酬をどうしようかとお悩みになる

経営者の方が多いと思います。

今のところ順調だから少し上げてみようと
考えている方。
逆に、少し見通し厳しそうだから下げて
おこうかと考えている方。

各社それぞれかと。

今回は、役員報酬の月額を変えるにあたって
いくつか注意する点がりますので、
それらをまとめてみました。

税務編~役員報酬の変更は原則決算後の株主総会で~

平成18年に役員報酬に関して税務上大きな改正が
あり、それ以来会社役員の月額の給与は、以下の
条件でしか損金で処理できなくなりました。
(ここで月額と書いたのは、賞与はまた別の方法が

あります。今度別の機会にご紹介いたします)

これを守らないと税務調査の際に指摘を受け
税金が増えてしまう可能性がありますので
注意ください。
ポイント①毎月の支給額は同額(むやみやたらに変えてはいけません!)
ポイント②原則定時株主総会でしか変えることができない
(原則と書いたのは、例外として業績が
著しく悪化した場合などは一定の要件のもと
変更が可能という意味です。詳細はこちら
ポイント③:株主総会での変更前と後
それぞれ同じ金額(以下の例参照)
例:3月決算会社の場合
2018年4月~5月:毎月30万円(変更前)
2018年5月の株主総会で月額を40万円に変更
2018年6月~2019年5月:毎月40万円(変更後)
以上の条件のもと、
決算後2か月以内(3月決算であれば5月末まで)に

開催する定時株主総会で役員の報酬を決めることになります。

ここで、株主総会の議事録をしっかり残しておくことが、
その後の税務調査の際に重要となってきますので

しっかりと作成しておきましょう!

税務調査では、役員報酬を決めるにあたってしかるべき
手続を踏んで決めているかも見られる可能性が高いので。

社会保険編~役員報酬の月額を変えたら社会保険の届け出も忘れず~

上記の方法で役員報酬の変更をしたら、
社会保険にかかる手続きもお忘れなく。
社会保険(健康保険と厚生年金)は、
固定賃金が大幅に変わった際は、
標準報酬の月額を毎年の定時改定
(毎年7月に見直す)を待たずに見直します。
(標準報酬月額表はこちら
なお、こちらの標準報酬月額表は、
毎年、若干ですが数値の見直しが入りますので、
定期的に確認が必要です。
さて、標準報酬月額については、
以下の3つの条件を満たしますと
随時改定(通称:月変(ゲッペン))となりますので
被保険者報酬月額変更届(以下(変更届))
所轄の年金事務所に提出することになります。
提出時の添付書類と様式はこちらになります。
(埼玉県の各地域を所管している年金事務所は

こちらをご覧ください。)

なお、以下の変動に関するお話は、役員だけではなく
従業員の方に同様の変動が起きた場合のことも含みますので、

日給や時給の話が出てきます。

(1)昇給又は降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3か月間に支給された報酬
(残業手当等の非固定的賃金を含む)の
平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの
標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3か月とも支払基礎日数が17日
(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。
ここで、固定的賃金とは、
支給額や支給率が決まっているものをいいますが、
その変動には、次のような場合が考えられます。
  1. 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  2. 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
  3. 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
  4. 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
  5. 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更
<随時改定の対象とならない場合>

(いずれも固定賃金の動きと報酬全体が逆の動きの場合)

 

1.固定的賃金は上がったが、
残業手当等の非固定的賃金が減ったため、
変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による
標準報酬月額が従前より下がり

2等級以上の差が生じた場合

2.固定的賃金は下がったが
非固定的賃金が増加したため、
変動後の引き続いた3か月分の報酬の平均額による
標準報酬月額が従前より上がり
2等級以上の差が生じた場合
固定賃金の変動が3か月間にわたり確認出来て初めて
変更届を提出します。
例:5月の定時株主総会で6月の報酬から変更した場合
6,7,8月の3か月間経過後、9月に変更届を提出し
報酬月額の変更を決定します。
そして、10月の報酬から変更後の社会保険料を

控除することになります。

株主総会の変更後すぐに提出しないため、忘れやすいので、
変更時はすぐに4か月後の予定に変更届の提出をいれておくと
提出漏れが防げます。

【編集後記】

昨日は、現在事務所を借りている創業支援
施設の方たちとの懇親会でした。
平日晩酌禁止ルールは、原則自宅での
飲酒を控える目的なので、昨日は例外として
17日継続中。