その支出は外注費か給与か!?~請負契約か雇用契約かを実態で判断する~
おはようございます。
川越・ふじみ野エリアで活動する税理士の榎本です。
事業が拡大すると人を使って仕事をこなす機会が出てきます。
その際の支払いが給与なのか外注費なのか判断に迷うことがよくあると思います。
目次
外注費か給与かの判断基準
建設現場などでよくあることですが、現場で作業する作業員のうち、Aさんは給料、Bさんは独立しているので、外注費で処理するということがあるかと思います。
この処理ですが、しっかりした判断のもとに行われていれば問題ありませんが、線引きの基準があいまいな場合は、注意が必要です。
特に税務調査の際にこの辺りが問題になりますので、一度整理してみるとよいかもしれません。
大枠としては、請負契約なのか雇用契約なのかという切り口で判断しますが、その他以下の点を合わせて最終的に判断するとよいと思います。
消費税法基本通達1-1-1で一つの目安が出ていますので、それをもとに少し確認してみましょう。
契約内容が他人の代替可能なモノかどうか
上記の例では、Bさんが体調不良その他の理由で現場の仕事にかかわれない場合にCさんという別の方を呼んできて仕事を進めることが可能であれば、請負として考えられるので「外注費」、そうでなければ「給与」。
指揮命令系統がどうなっているか
現場での仕事を進めるにあたり、個々の作業において業者の指揮監督を受けるかどうか。
すなわち、個々の作業について指揮命令を受けるのであれば、「給与」、そうでなければ「外注費」。時間などで管理されているのか、成果で報酬を得ているのか。
報酬請求権についての考え方
引き渡し物件・案件が不可抗力で滅失・喪失した場合に、そこまでの対価を請求できるかどうか。
できる場合は、「給与」。できない場合は、危険やリスクを負っていると考えられるので、「外注費」。危険負担の有無という視点で判断。
費用負担の状況
仕事をする際の材料などを支給してもらっているかどうか。
支給されている場合は、「給与」、自己で用意している場合は「外注費」。費用負担をしているかどうかということで判断。
これらは、あくまで一つの判断基準なので、絶対ではないことに留意してください。
大事なのは、同業他社との比較、給与所得者と外注業者との間でしっかりとした線引きとなるものがあるか等を総合的に考えて、どうかですので、上記のものを一つの目安にして整理し、第三者に説明できることが重要です。
外注費か給与かで影響がでてくること
消費税の処理
外注費であるか給与であるかによって大きく影響が出てくるのが、消費税です。
外注費であれば、仕入税額控除として消費税を減らすことができますが、給与である場合には、不課税となりますので、仕入税額控除として消費税を減らすことができません。
ここは、かなり金額のインパクトが大きいので慎重に判断する必要があります。
税金の支払い額に直結してきますので。
社会保険への影響
給与として判断されますと、雇用保険や社会保険の加入義務も生じてきます。
所轄官庁が税務署ではなく、年金事務所や労基署になりますので、同時に指摘を受けることはないと思いますが、万が一税務上給与として処理しなければならないと結果として保険関係も考慮しなければならない可能性が高いと考えられます。
このように周辺の影響も考えますと、導入時に慎重に判断することがその後のビジネスや資金繰りにも影響します。
【編集後記】
昨日巨人の上原選手が引退しました。
3月には、イチローさんが引退と自分たちが学生の時分にスター選手だった方が次々に一線から退くのを見ると一つの時代の終わりを感じます。
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