飲食業における人件費と売上原価の範囲

おはようございます。
先日飲食業のお客様先でお仕事をしていた際に、仕事を一緒にしていた別の会計士の方と飲食業の人件費の取り扱いについて少し議論になりましたので、自分の思考の整理の意味も含め書いてみました。

売上原価とは

飲食業における人件費をどこまで原価とするかというお話以前に、そもそも売上原価とはどういったものかを簡単に触れておきます。

 

売上原価は、収入である売上を獲得するのに直接必要となるコストであり、これは業種や業態によって内容や範囲は様々です。

 

実際にその事業を理解していないとどういった費用を原価に含めるかがあいまいになったり、間違ったものまで含めることになり適切な利益管理や、売上から原価を引いた売上総利益と呼ばれる利益の金額を正確に把握できません。

 

そうなると、経営を行う上で、目標とする売上やあるべき原価といったものの管理が不十分となってしまいますので、売上原価の定義づけは重要なプロセスの一つです。

 

自分自身、税理士として関与する場合、事業を理解されている経営者の方と確認しながら勘定科目の設定を含めて丁寧に行います。

 

また、事業内容が変わったり、新しい事業を始めた場合は適宜その内容を確認し、原価の内容が適切なものとなるように注意しています。

飲食業の売上原価

それでは、飲食業における売上原価を考える場合は、そこに含めるものにはどういったものがあるでしょうか。

 

原材料については、特に意見が分かれることはないと思いますが、人件費については冒頭書いたように少し意見が分かれるかなと思います。どのようにするかは、いくつか考え方があると思いますので、それぞれ整理してみます。

売上を生み出す源泉を物理的な場所と考えた場合

「売上」を生み出す源泉を物理的な場所をメインに考えると、店舗や店舗内で実際に料理が作られるので、そこにかかわる方の人件費は原価とみることができます。

 

もう少し細かく見ますと、店舗のうち実際に料理を作る人たちだけに絞るという考え方もあり、その場合は、キッチンスタッフだけが原価でウェイターや本社等の事務関係の人は販売・管理費で整理できるかと思います。

売上の変化との連動性で考えた場合

「売上」の変化に応じて動くかどうかといった視点、すなわち売上との連動性が強いかどうかと考えますと、人件費は売上原価から除かれるかと。

 

というのも、人件費というのは、売上が多少減ったり増えたりしても直接的に連動するわけではなく、比較的固定的なコストとしての性格が強いので、その場合は売上と連動性が強い原材料だけが原価で、キッチンスタッフやウェイター、事務員等すべての人件費はみな固定費として販売費や管理費として処理することになるかと。

FLコストというくくりで見た場合

飲食業界でよく使われます経営指標の一つであるFLコストという切り口でみるとどうでしょうか。

 

ちなみに、FLコストのF(Food)は材料費、L(Labor)は人件費。経営指標のひとつとして、FL比率は50%が一つの目安とされていますが、この見方で行くとFとLは経営者にとって管理する対象と考えられ、売上原価を管理可能なものを対象とするのであれば、人件費も売上原価となります。

 

一方、経営者にとって直接管理が難しいものは、期間費用として販売費や管理費とすることになるかと思います。

 

この他に、考え方として、原価計算がしっかりできており、原価管理の対象に人件費を含めて考える場合は原価になったり、値付けをする際に人件費も含めた値付けを考えているのかどうかといった切り口もあるかと思います。

 

ここまで書いてみましたが、個人的には売上原価を構成させるものとして人件費を整理するのが良いかと思います。

まとめ

飲食業のお客様に関与して思うのは、飲食業における人件費は、材料と同様に重要なコストの一つですし、利益確保のためにはしっかり管理していかないといけない項目です。

 

一方、コスト管理だけを重視して経営をするとお客様への満足度やそこで働く従業員の満足度の低下にもなりかねませんので、それらを考慮しながら、キッチンスタッフやウェイターの方の数のバランスも考えてコスト管理を行う必要があります。

 

このように、飲食業における人件費の管理は、非常に難しいものだなと改めて思いました。

【子育て日記】
下の子はぬか漬けのキュウリが好きなよう。ポリポリと言う食感がいいのでしょうか。ただ、いつも古漬けになってしまうので、量を抑えて塩分の取りすぎには注意します。長男は、においが臭いといって、ぬかそのものを敬遠しています(´;ω;`)