経済の仕組も書く人によってこんなにもわかりやすいとは~「父が娘に語る経済の話」で感じたこと~

おはようございます。
川越・ふじみ野・富士見・三芳エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。

 

いくつかの本を並行で読んでいるので、少し時間がかかってしまいましたが、「父が娘に語る経済の話」という元ギリシャの財務大臣ヤニス・バルファキス(見た目はブルースウィルスのような感じ)の方が書いた本を読みました。この方は、経済学者ですが、学者のような堅さがなく、ものすごくフランクな印象を感じさせる方です。

 

そのような方が書いた本なので、内容も比較的砕けた内容で、経済の歴史についても比較的平易な言葉で書かれいました。

 

また、現在の経済について歴史上の出来事を振り返る中で警鐘を鳴らしたり、映画や芸術の中のワンシーンと経済の事象を結び付けてわかりやすく説明したり、経済の基本が農業に由来するといったことなど、経済に関するお話が我々が今まで学校で習ってきたものとは違って視点で書かれていたので、読んでいて飽きませんでした。

 

比較的わかりやすい内容なので、子供に将来経済等の歴史を聞かれた際は、この本の話を参考にしようかと思いました。

 

本の構成は、いくつかの章立てで書かれていたのですが、最も印象的だったのは、最初の方にかかれていた、「農業と余剰と文字」についてです。

 

自分が今まで中学や高校で歴史を習った際は、インダス文明やメソポタミア文明等それぞれの歴史上の文明と文字の形成が結び付けて習っていたので、どうしても年表、文明の名前であったり、文字の名前を一つ一つ覚えるなど堅苦しく、覚えるのに苦労した記憶があります。

 

また、経済の歴史についてもイギリスの産業革命のあたりから、蒸気機関の発明、鉄道の発明等個々の発明が誰によってなされいつされたかといった形で書かれていたのを年表に合わせて暗記していたので、いまいち面白味にかけたという印象です。

 

しかし、この本の中では、そういった個々のモノにフォーカスするのではなく、もう少し大きな視点で農業と絡めて文字や経済の仕組みが書かれていたため、歴史の形成や文字のでき方、それに農業が関連するといった点がすごくわかりやすく斬新な内容でした。

 

昔の農業は、機械や統計データ等もしっかりしたものがなかたったので、適正な量を生産することが難しく、作れば必ず余剰、要するに過剰な在庫を生んでいたようです。

 

その在庫には保管が伴いますが、在庫を保管するには、倉庫が必要です。倉庫では、在庫を預けた人がいつどれくらいのモノを預けたか記録して管理しておく必要があり、その記録には文字が必要となりますが、当時は、文字の記録にあたっては貝殻を使い、貝殻に数量やモノの名前を刻印して管理していたようです。

 

また、文字を記録しておくことで、以前預けた方が、在庫に関する内容を記録した貝殻を提示すると、在庫を引き出せるなど、現在普通に行われている、在庫の受払管理、債権・債務、信用といった概念も当時あったことが紹介されています。

 

債権、債務、在庫、信用などは、自分が税理士業務を行う普段の仕事でも登場する考え方であり、これらのことが、はるか数千年から数万年前に行われていたことを考えると、大昔の方の想像力や思考力といったものに感服しました。

 

このくだりは、ほんの一部にすぎませんが、この他に、利益と借金、市場社会の発生過程、金融の仕組み等現代社会の経済に関係のある事象を歴史や映画の世界のお話と絡めて書かれていたので、比較的経済が苦手という方もわかりやすく読める内容となっています。もし、興味がある方は一度読んでみてください。

【子育て日記】
先週末の12日の土曜日の運動会はあいにくの台風で延期に。

 

今日、15日の火曜日に行われることになりました。子供たちはすごく楽しみにしていますし、親としてもどんな演技や競技が見れるのか楽しみです。