判例と時代

おはようございます。

 

川越・ふじみ野・三芳・富士見エリアで活動する公認会計士・税理士の榎本です。

 

会計士業務では主に会計基準、実務指針や適用指針等に準拠し、税務業務は、税法、施行令や通達等などに準拠して普段は仕事をしています。税務業務では、先に書いたモノで判断がつきにくい場合は、過去の税務判例などを参考することもあります。

とある税務判例

先日、ある方と確定申告の話をしていた中で、個人事業主のスーツに関連する費用は必要経費になるのかどうかといったことが話題に上がりました。

 

この論点について、ネット等で調べますと概ね家事関連費としての業務利用割合を検討の上処理するのが妥当という論調です。その根拠の一つに、過去の判例が参考になっているので調べてみると、なんとその判例は、昭和49年の京都地裁判決でした。

 

内容を読む限り「家事関連費(事業とプライベートに渡る費用)」として捉える点は、特段異論はないのですが、個人的に一点気になったのが、過去の判例を参考にする際にいつまでその判例を有効とするのかといった点です。

税務判例と時代

今回の例で言えば、昭和49年の判例がベースとなっていますが、昭和49年といえば、今から半世紀近く前の時代です。

 

当時と現在を比較すれば、価値観、社会環境、経済情勢、国内情勢や海外の状況等、多くの点で大きく異なると考えられますが、参考となる判例を当時のものを使えば、場合によっては正しい判断が出来ないこともあるかと思われます。

 

現在の税制では、こうした過去の判例について、どの時点のものまで有効といった区切りはないため、別の論点では、もっと古い判例が使われる可能性もあります。
その判例の内容が普遍的なもので、現在の価値観や社会状況にも適用可能のものであれば、当事者である納税者、税理士が納得できると思いますが、そうでない場合は、適宜見直すなどの事があってもいいかと思います。

 

例えば、法律や法令は、時代に合わせて改正がなされるように、判例についてもその判断基準に時代時代の価値観を織り込んだ新たな見解を基準として示すことも一つかと思います。(もしかして、こうしたことは現在も行われていて自分が知らないだけかもしれませんが)。

 

今回のスーツの経費に関してのもので言えば、当時の判例では「原則家事関連費」ということになっていますが、現在の日本のビジネス環境やプライベートウェアが多様化した生活環境、価値観などを考えれば、スーツをプライベートできることなど稀であり、スーツは原則事業以外利用しないのが通常のライフスタイルであるから、判例の解釈を「原則事業費」という形とし、例外としてプライベートでの可能性も否定しないといった形に修正することも一つではないかと思いました。

まとめ

今回の件を通して感じたのは、スーツの事例はほんの一例ですが、税務の世界ではアンシャン・レジーム的な発想や考え方を時折感じることがありますので、現代の発想や価値観とと照らし合わせてしっくりこない点については、しっかりと自分の意見を持ちそれを言えるような理論武装は必要かなと思った次第です。

【子育て日記】
今週月曜で長男は給食が終わり、毎日弁当です。昨年の春先は毎日作っていたので、それほど大変ではないですが、妹が自分の弁当も用意しろと朝から要求してくるのがちょっと大変。

 

なので、朝ごはんに妹だけ弁当箱にご飯とおかずを入れて上げる対応しましたら、納得されたようで、昨日、今日とうまくやり過ごしております。